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2021.01.13

Vol.4 クジラのヒゲや鼻骨で作った釣り用品編【指定鯨類科学調査法人/一般財団法人日本鯨類研究所所蔵クジラアイテム】

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鯨類およびその他の海産哺乳類の調査および水産資源の持続的な利用に寄与し続けている、指定鯨類科学調査法人/一般財団法人「日本鯨類研究所」所蔵クジラアイテムのご紹介第4弾。

今回は、クジラを使った釣り用品をご紹介します。ご存知の通り、日本人は昔から、クジラの骨も歯もヒゲも皮も余すことなく使うことで豊かな生活を築いてきましたが、漁具にもその恩恵を受けていることは知らない人も多いのではないでしょうか。しかしよく考えると、大海原でクジラと接してきた漁師さんや、それを支える漁師町の人々なら、海からの恵みを漁に活かそうと考えるのは当然のことなのかもしれませんね。

クジラのヒゲで魚をおびき寄せるバケ

それでは、早速ご紹介します。

まずは、ヤナギノマイ(メバル)釣りに使うバケ(写真上)から。

「バケ」とは、魚釣りに用いる疑似針の一種。フサフサした毛を、小魚やエビなどの餌と勘違いして食いついてきた魚を釣るために使います。主な素材としては、魚皮や獣毛などがありますが、こちらのバケは、なんとイワシクジラのヒゲで作られています。
クジラのヒゲは釣り竿の原料として使われることもありますが、使う場合の鯨種はセミクジラとイワシクジラのみ。他の鯨種のヒゲは釣り具の原料には適していないのだそうです。

北海道のサクラマス釣りに使われる「シャクリ(ルアー)」

続いては、イワシクジラの鼻骨を使って作られた「シャクリ」(写真上)。棒先端のフック部分に餌をつけ、名前の通り“しゃくる”動きによって魚を誘うために使います。ちなみに、シャクリはサクラマスを獲るために使われるもので、基本的には北海道のみで使われているのだそう。

こちらのシャクリ棒にはイワシクジラの鼻骨が使われていますが、漁具には、イワシクジラの鼻骨とマッコウクジラの鼻骨のみが使われているのだとか。

マグロ釣りに使われる「テンテン(ルアー)」

シャクリ棒をもう一品ご紹介。こちらは、マグロ釣りに使われている「テンテン」というルアーで、サクラマスのものと同様にイワシクジラの鼻骨で作られています。

テンテンはもともと漁師さんのみが使ってたものですが、最近では一般の釣り人にも使用している人がいます。また、昔は東北から北海道にいたるまでの広域で使われていましたが、クジラ漁をおこなうエリアの縮小に伴い、現在では北海道だけで使われているのだとか。

これらのアイテムを紹介してくれた日本鯨類研究所職員によると、これらの漁具がなぜ生まれたかというと、日本人には昔から「もったいない精神」が根付いていたから。お肉を食べ終わった後のクジラの骨やヒゲも「なにかに使えないかな」と考える習慣があったことから、骨もヒゲも有効に活用しようと創意工夫を重ね、生活に役立つものに生まれ変わらせ続けてきたのですね。そう考えると、日本で古来よりクジラ食文化が発展してきたのは必然的なことだったに違いありません。

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