聞く

9月4日の「くじらの日」に合わせ、東京・武蔵小山の「寿司とMAS」で店長を務める料理人・松田さんに、鯨赤肉を使ったオリジナル料理を考案していただきました。
今回考案していただいたメニューは、特別に9月12日(土)・13日(日)の2日間限定で、「寿司とMAS」の特別メニューとして提供されます。
鯨肉を本格的に扱うのは、今回が初めてだったといいます。魚介を扱う料理人の目に、鯨肉はどのような食材として映ったのでしょうか。料理が生まれるまでの発想や、実際に調理して分かった魅力を伺いました。
寿司を軸に、和食の枠を越えた料理を

――まずは「寿司とMAS」について教えてください。
「『寿司とMAS』は、武蔵小山にある系列店『イタリアン食堂MAS』に続く2店舗目のお店です。店名のとおり寿司を提供していますが、和食や日本酒にも力を入れています。家庭ではなかなか作れないひと手間を加え、和食の枠にとらわれず、イタリアンやフレンチの要素も取り入れながら料理を作っています」
「寿司も試行錯誤を重ね、現在は握りではなく巻き寿司が中心です。中に入れる食材や上にのせる食材を工夫し、意外な組み合わせや、ほかでは見かけないような寿司を目指しています」
鯨肉の第一印象は「鹿肉とマグロの間」

――今回、鯨肉を調理してみて、最初にどのような印象を持ちましたか。
「鯨肉には赤身のイメージがあり、見た目からマグロやカツオに似た感じなのかなと思っていました。ところが、実際に触れてみると、魚よりも肉に近い印象でした。一般的な肉と比べると柔らかく、包丁がすっと入ります。僕の中では「鹿肉とマグロの間」のような感覚でした」
生の食感を軸に、焼きナスとごま油を合わせる

――今回の料理は、どのように考案したのでしょうか。
「生で食べられることを生かしたいと思い、まず『火を入れるか、生で仕上げるか』を考えました。魚は刺身で食べることで、その味がよく分かると思っているので、今回は生にしようと決めました」
「試食すると、ほかの魚とは違う鯨ならではの風味を感じました。そこで、焼きナスの香ばしさを加え、ごま油を合わせて、初めての方にも食べやすい味にしています。鯨肉は柔らかい一方で、きちんと『食べている』と感じられる歯ごたえがあります。その肉らしい食感を残し、和食らしく山わさびの辛みを添えました」
考案したのは、鯨赤肉と焼きナスを重ねた一皿

今回、松田さんが考案したのは、細切りにした鯨赤肉と焼きナスを重ね、山わさびを添えた「鯨肉と焼き茄子のタルタル、山わさび」です。鯨赤肉は粗塩とごま油で和え、水にさらした赤玉ねぎを加えます。焼きナスは魚醤の「しょっつる」で味付けし、型に焼きナス、鯨肉の順に重ねて仕上げました。
ごま油で鯨肉特有の風味をやわらげながら、焼きナスの香ばしさ、赤玉ねぎの食感、山わさびの爽やかな辛みを組み合わせています。鯨肉は繊維に沿って切ることで、肉らしい歯ごたえを残しているのもポイントです。詳しい分量と作り方は、レシピ記事で紹介します。
レシピ詳細はこちら:料理人が鯨肉を本気で料理してみた!「寿司とMAS」松田さん考案の簡単あっさり鯨肉レシピ
――料理人として感じた、鯨肉ならではの魅力は何ですか。
「やはり食感ですね。肉らしい食べ応えがあり、魚ではなかなか感じられない歯ごたえがあります。家庭では食べる機会が少ない食材であることも、鯨肉ならではの価値だと思います」
おいしさを左右するのは、解凍と下処理
――初めて鯨肉を食べる方が気になりやすい「臭み」についてはいかがですか。
「解凍の仕方によって状態が変わる食材だと感じました。適切に解凍し、出てきたドリップをきちんと拭き取ることで、食べやすさは大きく変わると思います」
――家庭で楽しむなら、どのような食べ方がおすすめですか。
「生食用の赤肉なら、ごま油と塩で和えるだけでも相性が良いと思います。加熱する場合は、火を入れすぎるとパサつきやすいので、表面をさっと焼く程度に。少しレアな状態に仕上げると、おいしく食べられると思います」 「今回提案した「鯨肉と焼き茄子のタルタル、山わさび」は山わさびがなければ、わさびや柚子こしょうを添えてもいいですね。辛みが加わると味が締まり、爽やかさも出ます」
「唎酒師」資格をもつ松田さんに聞く、鯨肉に合うお酒
――今回の料理と相性の良い飲み物を教えてください。
「成人の方がお酒と合わせるなら、きりっと冷えた白ワインや、すっきりと切れのある辛口の日本酒が合うと思います。特に新潟や北陸の淡麗辛口タイプは、料理との相性が良いのではないでしょうか」
鯨肉を食べる「最初のきっかけ」をつくりたい

――どのような方に食べてもらいたいですか。
「レバーのような赤身の味が好きな方には、親しみやすいと思います。今回の料理なら、辛みを抜けば子どもでも食べやすいのではないでしょうか。初めてなら、まずは赤肉の刺身から試してほしいですね」
――最後に、「寿司とMAS」の料理を通じて伝えたい鯨肉の魅力を教えてください。
「普段から魚をさまざまな工程や調理法で提供していますが、これまで僕の中に鯨肉という選択肢はありませんでした。例えば、お造りの盛り合わせの一種として鯨肉が入っていれば、それが初めて食べるきっかけになります。鯨肉を提供する店はまだ多くないと思うので、もし当店で出せれば、初めて味わう方も増えるのではないかと思っています」
「鯨肉を「特別な食材」のままにせず、まずは一口、知ってもらう機会にしたい。松田さんが考案した一皿には、そんな思いと、料理人ならではの工夫が詰まっていました」
2日間限定!「寿司とMAS」で鯨肉メニューを提供

和食を中心に、イタリアンやフレンチの要素も取り入れた創作料理を提供する「寿司とMAS」。
今回、松田さんが鯨赤肉の食感や味わいを生かして考案した特別メニューを、
9月12日(土)・13日(日)の2日間限定で提供されます。記事で紹介した一皿を実際に味わえる機会です。ぜひお店で、料理人ならではの工夫が詰まった鯨肉料理をお楽しみください。
■店舗情報
店名:寿司とMAS
住所:東京都品川区小山台1-24-1 カサデパース 1-B
アクセス:東急目黒線「武蔵小山駅」東口から徒歩3分
営業時間:火~日 11:30~15:00(L.O.14:30)
/17:00~23:00(料理L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜日)
Instagram:https://www.instagram.com/sushi_to_mas