耳ヨリくじら情報
体験を通して科学の魅力を知ることで、子どもたちに理科や数学を好きになってほしいとの想いから、1992(平成4)年にスタートした「青少年のための科学の祭典」。事務局である『公益財団法人日本科学技術振興財団』が中心となって、年間を通して全国各地でさまざまなワークショップやイベントを開催していますが、1年のハイライトともいえるのが、東京・北の丸公園に立地する『科学技術館』で毎年夏に開催される全国大会です。
「科学」っておもしろい! 教科書に載っていることがすべてじゃない!
31年目となる本年度の開催日は、7月30日、31日の2日間。夏休み中の子どもたちとそのお父さんお母さんで、連日、大賑わいとなりました。出展者は、個人の教育者や研究者からボランティア団体、大学の理系学部までさまざま。「科学」とひとことでいっても、自然科学がテーマのワークショップもあれば、古典音律と平均律をテーマとした展示もあるなど、科学が人間にいかに幅広い分野の叡智を与えてくれるものであるかがわかります。
まずは、クジラが人間にどんな恩恵をもたらしているのか知ることからスタートしよう
もちろん、未来を担う子どもたちにクジラについて知ってもらうことも、とても大きな意義があります。そこで、『日本鯨類研究所』も、本大会にて、「クジラを知ろう!は?ひげ?にく?」と題したワークショップを開催。世界にはどの程度の鯨種が存在するのか、そのうち何種類くらいが日本近海にも訪れているのか、クジラは人間にどんな恩恵をもたらしているのかなどを、研究所スタッフが子どもたちにレクチャーしました。
「鯨」はなんで「魚+京」と書くの?
ワークショップは、まず、「鯨」という漢字の解説からスタート。「京」という漢字は、“一兆の一万倍”というとてつもなく大きな数字を表すことから、海で暮らす巨大な生物であるクジラを「鯨」の漢字で表すようになったことが説明されました。
クジラは種類によって2倍以上サイズが違うって知ってた?
では、どのくらい大きいかというと、サイズは鯨種によってまちまち。日本近海に生息しているもののうち、捕鯨が許可されているもののなかでもっとも大きいのは「イワシクジラ」で体長約19mなんだとか。さらに、同じく捕獲されることの多い「ニタリクジラ」は約15m、「ミンククジラ」は約8m、「ツチクジラ」は約12mとかなりの差があることが説明されると、子どもたちは興味津々の様子。事前に配布された、日本近海に生息している鯨類のイラスト入り下敷きを見つめながら、スタッフの話に聞き入っていました。
大人にとっても目からウロコのワークショップ
さらに、“イルカとクジラの定義の違い”“ヒゲクジラとハクジラの違い”など、大人でも正しく説明できる人は少ないであろうテーマに沿って解説が続いたため、子どもに同伴していた親御さんも興味津々。全長4m以下ならイルカ、4m以上ならクジラと呼ばれることや、ヒゲも歯も工芸品やアクセサリーの原材料として活用されていることを知り、「友だちにも教えてあげよう!」と思った人も多かったかもしれませんね!
クジラは食肉としてもわたしたち人間の生活をうるおしてくれている
また、ワークショップ終了直前には、「みなさんに宿題です」として参加者にクジラの大和煮の缶詰を配布。工芸品や装飾の原材料としてはもちろん、食料としてもわたしたちの生活を支えてくれているクジラのことをもっと知ってもらいたいとの意図で配布されましたが、これをきっかけにクジラのおいしさに目覚めて、いろんな料理を試してみたいと思う人も出てきそうですよね! さらに、「おいしいクジラのことをもっと知りたい」と考えて、クジラのことを研究すべく、研究者の道を歩み始める子どもも出てくるかもしれません。