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2024.01.05

【くじらコラム】‘‘ありがとう、日新丸’’日本の鯨類調査支えて30年(日刊水産経済新聞2023年12月27日掲載)

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南極海を進む日新丸

 30年を超える長きにわたり日本の捕獲調査と商業捕鯨を支えてきた日新丸(8145㌧)が今期で役割を終えた。同船は2度の火災や度重なる反捕鯨団体からの妨害を乗り越え、南極海および北西太平洋の鯨類捕獲調査をはじめ、日本の鯨類調査を長く支えた。鯨類調査を支えた日新丸の歴史やエピソードを研究者の声とともに振り返る。

 日新丸が第3日新丸の後継船として初めて投入されたのが、1991~92年の南極海鯨類捕獲調査(JARPA)だった。初の調査団長は日本鯨類研究所の現在の理事長である藤瀬良弘氏が務めた。まだ真新しい日新丸に翌年の92~93年調査に参加した田村力同所資源生物部門長によると、その時の調査では南極海でクロミンククジラ以外の鯨種を発見することは稀で「ザトウクジラが発見されただけでも船内は大騒ぎだった」という。しかし、最近では日新丸の横を潮を吹きながらザトウが泳いだり、ナガスクジラの発見率も増え「それだけ鯨類資源が増えてきたということ」(田村部門長)とこの30年余りで鯨類資源も大きく変化したようだ。

船上の鯨類調査の様子

 2000年以降、北西太平洋では第2期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ)が開始され、鯨種もミンククジラだけでなくニタリクジラとマッコウクジラ(02年以降はイワシクジラも)が加わり、鯨類の中でも比較的小型のミンクに比べて、ニタリやイワシクジラは大型のため「初めて見た時は圧倒された。あまりに大きく、調査員もその大きさに慣れていなかったため、サンプル採取もかなり苦労した」(同)。餌も大量で、胃内容物を採取したたるを持ち上げるだけで「ぎっくり腰になる人も出た」というエピソードも残る。さらに05年から第2期南極海鯨類捕獲調査(JARPAⅡ)が始まると、クロミンククジラの標本目標数が850プラスマイナス10%と、前調査の約2倍近くに増加したことで、ほぼ24時間体制で調査が行われた。
 また、日新丸と切っても切り離せない話の一つに、反捕鯨団体からの度重なる妨害行為がある。すでに第3日新丸からあったグリーンピースによる付きまとい行為に加え、05年からは過激な妨害行為で知られるシー・シェパードが加わり、薬品ビンの投げ込みや衝突など人命を脅かすレベルまで過激化。調査頭数の激減など被害を受けた。しかし、この妨害行為も乗り越え、19年以降の商業捕鯨再開後も捕鯨母船として活躍した。
 度重なる苦難にも負けず、日本の鯨類調査を支えた日新丸。その任務は来年3月に完成する関鯨丸へと引き継がれる。

「くじらコラム」は月1回日刊水産経済新聞にて掲載されます。
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