特別企画展「クジラってどんな生き物?」開催中の『観音崎自然博物館』で研究者がクジラについて教えてくれるイベント開催 | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2023.10.18

特別企画展「クジラってどんな生き物?」開催中の『観音崎自然博物館』で研究者がクジラについて教えてくれるイベント開催

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神奈川県『観音崎自然博物館』にて10月3日より開催中の「クジラってどんな生き物?」。昨年も好評だった特別企画展が、今年はさらにパワーアップして帰ってきました。会期中、土日祝日限定で、アンケート回答者にクジラの下敷きがプレゼントされる特典や、集めて楽しいスタンプラリーなどが用意されていることもあり、開催を心待ちにしていたクジラファンもたくさん。会期前半の10月8日(日)に開催されたイベントにも、多くの親子連れが参加して賑わいをみせました。

イベントの内容は、日本鯨類研究所の資源生物部門鯨類生態チーム長・茂越敏弘(もごえとしひろ)さんが、クジラの生態やクジラの調査方法について教えてくれるというもの。まずは、参加者全員で博物館の建物前に、シロナガスクジラが描かれた垂れ幕を広げるところからスタートしました。

シロナガスクジラの全貌が現れると、靴を脱いで垂れ幕のうえにあがった子どもたちに、「クジラの目はどこにあるかわかる?」と質問。われ先にとクジラのつぶらな瞳に駆け寄る子どもたちは、世界最大の哺乳類を間近に感じられてとってもうれしそう!

子どもたちの正解を受けて、「じゃあ、胸ビレはどこにある?」「背ビレは?」「鼻は?」「おへそは?」と質問は徐々にレベルアップされていきますが、みんな正解を得意げに教えてくれます。最後には、「足は?」というちょっと意地悪な質問が繰り出され、クジラの後ろ足は進化の過程で退化して無くなってしまったことが説明されました。

垂れ幕のシロナガスクジラと記念撮影した後は座学がスタート。まずは、スクリーンに映し出されたクジラの種類当てからはじまりましたが、みんな元気に「はい!」と手を挙げています。

シロナガスクジラ、マッコウクジラ、ザトウクジラ、イッカク、ツチクジラ、コククジラ、バンドウイルカ、イシイルカ、スナメリ、ミンククジラ……とさまざまな鯨種とその特徴が一通り紹介されると、今度はそれらがハクジラとヒゲクジラに分類されることが説明されて、ヒゲクジラは鼻の穴が2つある一方、ハクジラには鼻の穴が1つしかないことなどもみんなで学びました。

さらに、背ビレには骨がないこと、ウネはヒゲクジラのみに見られる特徴でハクジラには存在しないこと、耳の穴がふさがっているため、耳垢は生涯溜まり続けることなどが説明されると、大人たちも興味津々の表情。また、穴がふさがっている耳でどのように音を聴き取っているかというと、水中を伝わってくる振動を下アゴの骨でとらえる「骨伝導」であることを説明したうえで、クジラたちがどのように音を感知しているかを専用の機械で一人ずつ体験してもらいました。

人間の耳とは造りが大きく異なるこのような特徴ゆえに、5,000万年前に存在したクジラのご先祖、アンブロケタス、5,300万年前に存在したパキケタスも、現在のクジラとはまるで違う容姿なのに、耳の骨を見ることで「クジラの祖先だ!」と判断できるのだそうです。

また、耳の骨はその大きさの割に重さがあることも大きな特徴。反対に、足の名残である骨盤の骨はとても軽いことから、ふたつの骨を持ち比べて驚いた表情を見せる参加者の姿も見られました。さらに、クジラは耳の穴がふさがっていて耳垢が溜まり続けるから、耳垢から年齢がわかること、クジラのオスとメスは生殖器と肛門の位置関係などで見分けること、クジラの追跡調査をおこなうために発信機をつけていることなど、クジラに関するさまざまな調査方法の説明も満載。

充実した時間の締めくくりに、長さ8mのミンククジラの垂れ幕前で記念写真を撮影したら、「鯨大和煮」または鯨肉入り「こどもカレー」の好きな一品をお土産にもらえるとあって、誰もが笑顔でお土産選びを楽しんでいました。

同イベントは8日限りですが、特別展は引き続き29日まで開催中。館内では、観音崎周辺で見つかったクジラの化石なども展示されています。

たとえば、横須賀市佐島に漂着したコマッコウの耳骨、三浦半島南端に位置する城ケ島に漂着したスナメリの耳骨、藤沢市に漂着したハナゴンドウの耳骨の形や大きさの違いを観察するのもおすすめ。各鯨種のサイズをイメージしながら観察すると、それぞれの個体が漂着した海岸の様子まで想像できそうですね。

併せて、城ケ島に漂着したスナメリの頭骨(写真/左上)、佐島に漂着したコマッコウの頸椎(写真/右上)などの展示も。

さらに、化石の展示だけでなく、クジラやイルカの生態についての解説も充実しているので、一つひとつをじっくり読みながら鑑賞すると、それだけでもかなりの知識を得ることができます。

また、博物館入口では、くりっとした瞳が愛らしいバルーンクジラや、観音崎と縁の深いゴジラがお出迎えしてくれるので、鑑賞前後の記念撮影もばっちり楽しめます。特別展の開催は10月29日までとまだ時間があるので、ぜひ足を運んでみてくださいね。

観音崎自然博物館
住所:〒239-0813 神奈川県横須賀市鴨居4丁目1120
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日:月曜日※祝祭日の場合は翌日

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