インドネシア伝統の絣織(かすりおり)「イカット」の背景には、クジラと塩が織り成す物語があった! 東京・押上『たばこと塩の博物館』で展覧会開催中 | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2023.03.22

インドネシア伝統の絣織(かすりおり)「イカット」の背景には、クジラと塩が織り成す物語があった! 東京・押上『たばこと塩の博物館』で展覧会開催中

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専売品であった「たばこ」と「塩」の歴史と文化をテーマとする博物館として、日本専売公社(現・日本たばこ産業株式会社)により設立され、それらの資料を収集、調査・研究をしている唯一無二の博物館『たばこと塩の博物館』。さまざまな切り口から、たばこおよび塩の価値や魅力、歴史を私たちに伝え続けてくれている同博物館が、現在、クジラととっても縁が深い内容の特別展を開催中です。

特別展タイトルは、「江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット~クジラと塩の織りなす布の物語~」。「イカット」とは、インドネシアの伝統の絣織(かすりおり)のことで、織られている地域ごとに色彩や柄に特色があります。

展示されているイカットはすべて、元沖縄国際大学教授で民族考古学者の江上幹幸(えがみ・ともこ)さんのコレクション。江上さんが、インドネシアのフローレス島、その東の島々やティモール島を中心に、民族的な伝統文化を調査する過程で蒐集(しゅうしゅう)したものです。コレクションの数はなんと1,000点にもおよぶそうで、同展で観ることができるのはそのうちの一部ですが、そこから、クジラと塩が織り成す物語が見えてきます。

木造帆船の捕鯨船(プレダン)の模型

物語の舞台は、インドネシア東部に位置するレンバタ島。世界で唯一、モリ一本で仕留めるクジラ漁をおこなっている島です。レンバタ島では、海側のエリアに暮らす「海の民」も、山側のエリアに暮らす「山の民」もイカットを織っていますが、イカットを織る糸の材料となる綿や染めるための天然染料である藍を育てているのは山の民で、藍の葉を染料に変えるために欠かせない石灰を作っているのは海の民です。では、お互いに足りないものを手に入れるためにどうしているかというと、それぞれの土地で採れる(捕れる)資源を交換しているのです。

物々交換にあたっては、古来より、「モガ」という価値基準単位が使われています。1モガは、塩1つかみ、石灰1つかみ(いずれも約50g)に相当して、たとえば、塩や石灰1つかみは6本の農作物と交換してもらうことができます。また、クジラ肉1片は、主食となるトウモロコシやバナナなどの農作物12本分に相当。つまり、この物々交換によって、イカット作りに必要な材料を手に入れているだけでなく、生きていくために必要な食料も手に入れているのです。

クジラと塩を持っているのは、もちろん海の民。そのため、男性たちはクジラを求めて海に出て、女性は塩作りやクジラ肉を干し肉にする加工などをおこなう生活を続けています。

こうした、海の民と山の民との暮らしの違いは、イカットにも反映されています。たとえば、海の民のイカットには、マッコウクジラやマンタをモチーフとした紋様が織り込まれていることから、彼らにとってそれらの生物が生活のなかで大事な部分を占めていることがよくわかるのです。

展覧会は3部構成で、第1部では、レンバタ島で蒐集されたイカット約20点、第2部では、イカットの背景にある暮らしと交易について写真付きで解説されているので、歩みを進めるほどにレンバダ島の文化や歴史への理解が深まります。また、第3部では舞台をさらに広げ、フローレス島とその東の島々やティモール島西部で蒐集されたイカット約30点が展示されています。

展示を観終わるまでには、お気に入りの柄が見付かって、イカットを入手したい気持ちが芽生えているかもしれませんが、その場合は、1階のミュージアムショップで、江上幹幸さんが収集したインドネシア産のイカットなどを購入することができるのでご安心を♪ 肩掛けやテーブルセンターなどさまざまなタイプの取り扱いがあるので、好みの一枚が見つかるかもしれないですね。    

■江上幹幸コレクション

 インドネシアの絣・イカット ~クジラと塩の織りなす布の物語~

会場  :たばこと塩の博物館 2階特別展示室
住所  :東京都墨田区横川1-16-3
    (とうきょうスカイツリー駅より徒歩約10分)
開催期間:2023年1月21日 (土)~4月9日 (日)
開館時間:10:00~17:00 (最終入館16:30)
休館日 :月曜

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