クジラ好き必見!ここにしか保存されていない収蔵品『得庵本(とくあんぼん)』とは⁉「松浦史料博物館」@長崎県平戸市 | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2022.11.23

クジラ好き必見!ここにしか保存されていない収蔵品『得庵本(とくあんぼん)』とは⁉「松浦史料博物館」@長崎県平戸市

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長崎県平戸市にある平戸瀬戸は、日本最古の捕鯨が行われた地域との説があり、その歴史は縄文時代にまで遡ると言われています。昔からクジラにゆかりのある平戸市ですが、市内の高台には鎌倉時代からの資料を保存・公開している「松浦史料博物館」があります。同館は鎌倉時代から続き、平戸をはじめ江戸時代には優良な漁場であった壱岐をふくむ長崎県北を治めた平戸藩主松浦家に伝来した資料を保存・公開する長崎県で最も歴史を有する博物館です。建物は、明治26年(1893)に松浦家の私邸として建てられた「鶴ヶ峯邸」(長崎県指定文化財)を利用しています。公道から建物までを覆いつくす高い石垣と何層にも重なる瓦屋根からは、深い歴史を感じます。

時代の流れがひと目でわかる展示品の数々

同館は日本の近世史に重要な足跡を残した松浦家に伝わる資料や美術工芸品が展示されています。平戸は海上交易も盛んであり、フランシスコ・ザビエルが布教活動をしたところでも有名です。貿易関係の資料やキリスト教にまつわる資料なども多数展示されています。
歴代の藩主には個性豊かな人物がいたため、あまり他ではお目にかかれない資料や美術品も多く収蔵しているそうです。

江戸時代に日本ではじめて正確な地図を作成したとされる測量家の伊能忠敬。彼とその弟子が約9年にわたり平戸藩を測量して地図を起こした測量図(伊能図)の展示がありました!!

キリスト教に関する資料(写真上)などの展示がありますので、長崎県で“かくれキリシタン”の聖地巡りをする方にもオススメの施設です♪

当時の“クジラ”がまるわかり⁉ここにしかない貴重な「得庵本」

江戸時代に栄えた西海捕鯨は平戸藩内の財政を支えました。
同館では、そんな捕鯨を中心とした平戸の歴史を見ることができます。

「得庵本」は、文政13年頃(1818~1830年)に制作された冊子。
正式名称は無く、通称で「得庵本」(とくあんぼん)と呼ばれています。
現物は同館に収蔵されている一点だけなのだとか。

本の表紙には「鶴ヶ峯(つるがみね)」と書かれています。


中を開いてみると、クジラの生態について解説されていたり、クジラを港に持ち帰る様子が描かれていたりと、わかりやすくとても興味深いものになっています。

港にクジラを持ち帰った図のページには、当時の人々が喜んでいる様子が描かれています。クジラが街にもたらす影響の大きさが見てとれますね。

また捕鯨に使用されていた帆船の図(写真上)の、色づけられた赤と黒は現物の色味を再現しているそうです。
200年近く昔の現物が色あせることなく鑑賞できるのは素晴らしいことですよね。

クジラに関する最高知識の結集!

写真上にある「勇魚取絵詞(上巻・下巻)」(いさなとりえことば)は、捕鯨の様子・クジラ図解・クジラ商品の生産過程・クジラの種類、骨格、内蔵・捕鯨用具などを図解で示しているいわばクジラの図鑑です。上巻は生月での捕鯨概要について、下巻には捕鯨対象となった鯨種や解体図、捕鯨道具等の詳細がまとめてあります。また、その別冊としてまとめられたものが、「鯨肉調味方」で、鯨の67部位別の調理方法を紹介しています。

細部まで詳しく図解されています。描いてあるように、当時の捕鯨は最初に一番大きなモリで突くことから始まります。捕鯨の際にはたくさんの道具や準備が必要だったことが分かりますね。

現代もクジラに対してまだ解明されていないことがありますが、当時から人々がクジラを調べていたことが分かります。

上の写真は本を刷る際に使う原版です。原版を見る機会はあまりないのでとても貴重です!!重厚感も感じることができました♪

展示品は不定期で入れ替わるので、クジラに関する展示物を鑑賞希望の際にはあらかじめ博物館へ確認を入れることをオススメします!

松浦史料博物館は高台にあるので遠くに見える平戸城の天守閣もみることができ、とても景色がきれいです。のんびりとした時間を過ごすことができますよ♪

松浦史料博物館
住所:長崎県平戸市鏡川町12
電話番号:0950-22226
FAX:0950-22-2281
Mail:matsuhaku@matsura.or.jp
営業時間:8:30-17:30
休館日:12月29日-1月1日

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