耳ヨリくじら情報
千葉県南房総市のクジラ資料館『勇魚(いさな)文庫』所蔵のクジラアイテムを紹介する連載企画。今回は、2回目となる【クジラのヒゲ編】です。実用品からアクセサリーまでさまざまにピックアップしてみました。
■帆船の置物
クジラのヒゲ加工技術に定評のある『株式会社三桜(さんおう)』が手掛けた帆船オブジェ。長崎市や諫早市を中心に生産されている工芸品「長崎べっ甲」をヒントにして、クジラのヒゲを原料に作られていました。幸先の良い“船出”となることを願って、新婚旅行の最中に購入するカップルなども多かったそうです。船のモチーフは日本丸。額入りを含めて5つの異なるサイズで製作されていたんだとか。写真のように、サイズ違いの2艘を並べて飾るのもかわいいですよね。
■かんざし&腕輪
こちらも『株式会社三桜』製品。クジラのヒゲで作ったかんざしと腕輪のセットです。1980年前後には、“クジラの街”として知られる石巻市鮎川にて、さまざまな三桜製品が売られていました。
■耳かき
『株式会社三桜』製品の耳かき。クジラのヒゲで作られています。お土産品としても人気の一品 でした。「くじらのささき」の商品名がとてもユニークですよね。これで耳垢をとれば、クジラたちの会話もよく聴こえるかも!?
■ウナギ専用仕掛けセット
クジラのヒゲを原料とする、ウナギ専用仕掛けセットです。あたりがつくと鈴が鳴る仕掛け。竹で作られたものが一般的でした。昭和の子どもたちも竹を原料に自分で仕掛けを作る ところからスタートして釣りに興じていました。
■バチ
京都・祇園祭で使われる摺鉦を叩くためのバチ(撞木・鉦すり)です。頭部分は鹿の角、柄の部分はナガスクジラのヒゲが材料。現在ではプラスチック製のバチが一般的ですが、ヒゲで作られたバチはそれと比べて柔軟性があり、よくしなるのが特徴です。かつてはセミクジラのヒゲが使われていましたが、現在はもう手に入らないためナガスクジラで代用されています。しかし、ナガスクジラはセミクジラより耐久性が低いのがデメリットといわれています。黒いほうはセミクジラ、茶色いほうはナガスクジラのヒゲを原料としています。頭の部分は両方とも鹿の角が使われています。
■扇子入れ
クジラのヒゲで作った扇子入れです。スライドさせて開閉して、なかに扇子を入れます。扇子入れは、明治時代くらいまでは日常的に使われていたそうです。
■カトラリー
ナガスクジラのヒゲを材料とするナイフ、フォーク、スプーンです。 ナガスクジラのヒゲ縞目の美しさが際立ちます。
今回のラインナップを見てもわかる通り、クジラのヒゲは見た目の美しさも圧巻。「これを基に何を作ろう?」と考える時間そのものも楽しめそうですよね! 次回のアイテム紹介もお楽しみに。