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2019.09.17#生態系

いきものとしてのくじら

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日本の近海には何種類のクジラが棲息しているのですか?

現在、世界には84種類の鯨類がいると考えられています。近年、新種のツノシマクジラ(ヒゲクジラの仲間)が日本で発見されましたが、その分布や生態、生息数はまだ不明です。このように、広大な海に暮らすクジラのことですから、今後も世界のどこかで新しい種類が発見される可能性もあるのです。

日本周辺の海には40種類の鯨類が生息していると思われます。世界に現存する種類のおおよそ半分の数になりますね。鯨類にはイルカの仲間も含まれますが、イワシクジラ、ミンククジラやツチクジラなど、食材としてのおなじみのクジラから、ロングマンオウギハクジラやオガワコマッコウなど、みなさんにはちょっと聞きなれない名前のクジラまで、実にたくさんの種類のクジラたちが、私たちのすぐそばで暮しているのです。日本周辺に生息する40種類のうち9種はヒゲクジラの仲間、残りの31種はハクジラの仲間。

ヒゲクジラ類:シロナガスクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ、ツノシマクジラ、ミンククジラ、ザトウクジラ、セミクジラ、及びコククジラ。ハクジラ類:マッコウクジラ、オガワマッコウ、コマッコウ、オウギハクジラ、コブハクジラ、アカボウクジラ、イチョウハクジラ、ハッブスオウギハクジラ、ロングマンオウギハクジラ、ツチクジラ、イシイルカ(イシイルカ型)、イシイルカ(リクゼンイルカ型)、ネズミイルカ、スナメリ、オキゴンドウ、シャチ、コビレゴンドウ、ユメゴンドウ、カズハゴンドウ、ハナゴンドウ、ハシナガイルカ、セミイルカ、ハンドウイルカ、マダライルカ、スジイルカ、ミナミハンドウイルカ、サラワクイルカ、シワハイルカ、マイルカ、カマイルカ、及びハセイイルカ。

イルカ・クジライラスト:(C)河合晴義

クジラのハツ(心臓)って、どこにあるのですか?食べられますか?

収縮と拡張を繰り返し血液循環の原動力となってくれる心臓は命の要。クジラの仲間では心臓が右の図で示すように胸鰭の付け根のやや後ろあたり(体のほぼ真ん中、体の縦軸に対してほぼ中央の位置)にあります。大きな鯨はやはり心臓も大きいであることは当然です。もっとも、その全体重と心臓の重さの比率をみてみると、ほかの哺乳類と大きな違いがない。大型のヒゲクジラ類の心臓はヨコに長く独特な形をしています。また、その作りをみると、サカナの心臓が2室に分かれているのに対し、クジラの心臓は4室に分かれています。これはほう乳類に共通する特徴なのです。

現在ではごく一般的に家畜(牛や豚、鶏など)の心臓(ハツ)は焼き肉や串焼きの食材とされてきました。また、動物によってハツ刺し等で生食する場合もあります。くじらも同様です。肉や皮だけでなく、心臓も美味しくいただけます。

日本人は、昔から鯨の食文化を築いてきました。とりわけクジラの70か所もの部分の調理法と食べ方が紹介されている「鯨肉調味方」という書物では、うす(心臓)は揚げ物にすると美味しいとされたようです。

現代でも独特な風味とコリコリとした歯触りを持つくじらの心臓の刺身は最高の珍味とされ、食べやすい大きさに薄くスライスしたものをにんにく醤油や生姜醤油でいただくのが通の食べ方とされています。また、牛や鳥のハツと同様、塩コショウや焼肉のタレで味付けしたものを焼いたり、炒めたりしても美味しくいただけます。

※クジラの心臓の大まかな比率は正確ではありません。

クジラはなぜ「回遊」するのですか?

クジラには「回遊」という習性があります。回遊は、クジラの中でも、とくにヒゲクジラのなかまに多く見られる習性で、長いものではなんと2万キロメートルも移動をするそうです。これは、地球をおよそ半周する距離です。クジラが回遊するのは、一般的に繁殖・子育てのためだと考えられています。地球の海は、水温で分けると、南極や北極近くの寒い海と、赤道近くのあたたかい海の2つに分けることができます。寒い海にはクジラのエサとなる生物(プランクトン、小魚など)がたくさん生息しています。しかし、水温が低すぎる海域は出産や子どもを育てるのには適していないのです。そのため,ザトウクジラやミンククジラ等は、夏は寒い海でエサをたくさん食べ、冬にはあたたかい熱帯や亜熱帯の海へ泳いでいって子どもを産んで育てているのです。

クジラの仲間のなかでも、マッコウクジラは大人のオスだけがあたたかい海から寒い海へ回遊します。またイルカの仲間には一年中同じ海で生活する種類もいます。このように、クジラの回遊のあり方は種類によって異なっているようです。冷たい海でたくさん餌を食べてくじらが太り美味しくなってくれるのです。

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