日本鯨類研究所について | くじらタウン

調査・研究

2023.07.11

日本鯨類研究所について

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(一財)日本鯨類研究所は、鯨類を水産資源として適切な頭数の管理を行い、持続可能な利用をできることを目指して、さまざまな調査・研究を行っている機関です。
日本は、四方を海に囲まれた島国であることから、古くから海とのかかわりを大切にしてきました。海には、海草や貝、プランクトン、魚、哺乳類など多種多様な生き物が生息しており、日本人はこれらを大事な食料資源として、幅広く利用してきました。
鯨類は海洋生態系の食物連鎖の中でも頂点に位置しており、鯨類を調べることにより、鯨類の資源状態を把握できるのみならず、その餌である魚類など海洋生態系の変化についても把握することができます。

調査・研究の目的

人が食べる魚への影響の調査

クジラは海の生態系の頂点に位置しており、クジラが増加すれば海洋生物系の全体のバランスが崩れてしまいます。クジラの餌(魚、イカ、オキアミ等)の種類や量、調査海域にいる餌となる生物を調査・研究することによって、クジラと餌の関係を把握し、クジラが人間の食物となる魚へ及ぼす影響を調べるためにデータを収集、分析を行っています。

鯨類資源の動向の調査

鯨類資源を持続的に利用するため、鯨類が増えているのか減っているのか、分布している海域が変わっていないのかなどの科学的データを収集、分析を行っています。また、成熟する(何歳で子どもを産める)のか、栄養状態は良いのか悪いのかなどについても、情報の収集と分析を行っています。

系群構造の解明のため

「系群」と呼ばれる集団を持つクジラを資源管理するために、どのような集団で行動しているのかの解明に取り組んでいます。そのため、遺伝学的情報、形態学的情報、生態学的情報などの収集・分析を行っています。

海の生き物の資源管理

長寿命であり、食物連鎖の頂点に位置するクジラを追跡して調査・研究することにより、海洋汚染状況や海水温上昇による生態系の変化などの海洋環境を知ることができ、海洋生物資源全体の管理に役立てることができます。

調査内容

海に生息する哺乳類、主に鯨類を対象として様々な角度からクジラの調査研究に取り組んでいます。
鯨類資源の管理と海洋生態系における鯨類の役割を明らかにして、海洋生態系の保全を目指して研究を進めています。
鯨体そのものを調べる生物調査(体長、体重、栄養状態、胃内容物、年齢査定等)、生息する鯨類の種類や頭数を調べる目視調査、バイオプシーによるDNAやホルモンの解析、衛星標識によるクジラの移動や回遊調査など、様々な方法を用いて研究しています。また、餌となるプランクトンや魚類の分布や海況を調べて、クジラの分布や海の生態系を調べる海洋環境調査も重要な調査です。
これらの調査を毎年行うことで、クジラの資源管理に役立つデータを収集し、解析を進めています。

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