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【小樽市】北海道小樽水産高校の海洋漁業科、栽培漁業科の約60人の生徒と、水産食品科、情報通信科の約50人の生徒を対象に9日、「捕鯨について考える」授業が行われた。日本捕鯨協会の松田彩国際対策担当アドバイザーが捕鯨の過去や現在、日本や世界の鯨食文化について話した。小樽では現在、鯨食文化がほとんどないが、講演のあとには試食も行われ、生徒は北太平洋産ナガスの赤肉と本皮味噌漬けの味を確かめた。
授業は2科ずつ2回行われた。松田氏は授業で、同校教諭が保管していたクジラのヒゲや歯の利活用なども示し生態について解説した。
現在の日本の捕鯨については、基地式と母船式の2種類があり、基地式は比較的小型の捕鯨船で、沿岸でニタリとミンク、ツチを捕獲し基地へ運搬。陸上で解体し主に生鮮で販売する。
母船式は、排他的経済水域(EEZ)内で、独航船が大型のナガス、ニタリ、イワシを捕獲。母船の関鯨丸へ水揚げして解体し、主に冷凍販売する。操業風景の動画ではナガスは4〜5時間で解体すると述べた。
日本の捕鯨史や鯨肉の部位などの説明では、北海道ではアイヌ民族がトリカブトの毒で捕鯨していたと解説。世界で捕鯨している国・地域の説明ではインドネシアで現在も銛(もり)を使って捕鯨していることを説明した。
ヒトは、原始的には海岸に打ち上げられた鯨を利用。やがて沿岸近くで捕鯨、その後は沖合へ漁場を広げた。米国・ペンシルベニアでは石油が発見され鯨油などの需要は減少した。一方、南極海での捕鯨が盛んになり、1930年代には年間2万頭超を捕獲。クジラが激減し国際捕鯨委員会(IWC)での資源管理になった。

日本では現在は主に牛、豚、鶏の肉を食べているが、第二次世界大戦後はタンパク質の約半分を鯨肉で摂取した。72年には国連人間環境会議で反捕鯨の流れができた。反捕鯨団体の妨害活動の動画も紹介。現在はEEZ内で商業捕鯨していると述べた。
松田氏は、「国際的な捕鯨を巡る対立は現在も平行線のまま。クジラを捕らなければ生物多様性を守れるともいえない。私は捕鯨を日本人としてのアイデンティティーの一つと感じている。捕鯨は日本文化の一つ。皆さんに鯨肉を食べてもらい、捕鯨が存続できればと思う」と話した。2回の授業とも、最後に生徒が謝辞を述べた。
試食の鯨肉は共同船舶㈱(所英樹社長)と㈱g-next(多田雅彦社長)が協力。赤肉はg-nextが独自処理した色変わりを抑え、軟らかな食感の商品。味噌漬も同社が試行錯誤を重ね商品開発した。
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