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【枚方】摂南大学農学部(大阪・枚方市)食農ビジネス学科・副島久実准教授のゼミ学生有志を対象に11月12日、「捕鯨について考える」授業が行われた。捕鯨と鯨食文化を若い世代へ継承していくことを目的に、日本捕鯨協会で国際対策を担当する松田彩アドバイザーが、学生11人に写真や動画なども交えて分かりやすく捕鯨の現況などを話した。
同学科では、地球規模の視野で考え、地域目線で行動する「グローカル」の視点に立ち、生産・加工・流通消費でとらえ、経済や経営、マーケティングなどについて幅広く学んでいる。今回は講義ではなく、あくまでも有志としての参加で、意欲あふれる学生が集まった。

松田氏は学生に対して強制的に捕鯨についての賛意を得ようとはせずに、「食」や「農水産」を深く学び、学生が将来にわたってフードビジネスを考えていけるように講演。あくまでも学生が自身で考えて行動していくための情報を提供した。
「海外にいる時に、なぜ日本人はクジラを食べるのか。かわいそうだと思わないか」と聞かれたことから、「クジラを食べる文化は自由だと思った」と述べた松田氏。
自己紹介などから始まった講義では、捕鯨のイメージや知りたいことなどについて学生からざっくばらんに聞き取りがスタートした。
続いて日本がクジラを獲っている場所について、排他的経済水域(EEZ)内であることを説明。
母船式捕鯨の共同船舶(株)(所英樹社長)関鯨丸での解体、加工などの動画も示した。
母船式は、大型船の中が加工場になっていて、キャッチャーボートが捕獲したナガスクジラ、ニタリクジラ、イワシクジラを解体処理。一部を除き冷凍販売すること、基地式は比較的小型の捕鯨船で、ニタリクジラとミンククジラを捕獲し基地まで運搬。陸上で解体、主に生鮮で販売していくこと、などを話した。
続いて世界では、ノルウェー、アイスランド、デンマーク自治領のフェロー諸島、カリブ海の国、インドネシアで捕鯨が行われていることを各国の状況なども交えて説明。松田氏自身が現地を訪れた時の写真なども使って具体的に紹介した。
松田氏は、「戦後の食糧難の時代に南極海の鯨肉が日本を救った。現代は鯨肉がなくても生きていけるかもしれない。私自身は一次産業を強固にしたい。皆さんも食に関わる仕事に就くと思うが、技術継承をしなければ、その食文化は廃れてしまう。そうしたことも考えてもらえたらと思う」と話した。

講義と並行して、学生は北海道オホーツク産のナガスクジラの赤肉とアイスランド産の本皮の味噌漬を試食し、その味を確かめた。
学生からは、「捕鯨の方法などが理解できた」「世界の捕鯨に興味をもった」「米国や英国が反捕鯨国だと知り驚いた」「歴史を知り、捕鯨文化を大事にしたいと考えた」などの感想があった。
また、大学生らしく「鯨肉を購入できるところが近くになく供給に工夫が必要ではないか」「文化の尊重は大事だが、経済的合理性はどうなのか」といった質問も出された。
鯨肉を試食した感想として学生からは、「初めてクジラを食べた」「マグロのような味」「馬肉や鹿肉のような味わい」「給食の竜田揚げしか食べたことがなく、刺身は初めてだった」「臭みがないか躊躇(ちゅうちょ)したが、臭みは全くなく、冷凍技術の発展を意識した」「もっと食べたいと思った」「哺乳類を生食で食べることに違和感を感じた」「規制などで食べられない国が多い中、鯨肉を食べられるのはありがたいことだと感じた」「多くの人にクジラのおいしさを知ってほしいと思った」「皮はコリコリとしておいしかった」といった意見が聞かれた。
短い時間ではあったが、学生は捕鯨および鯨食文化について改めて関心と理解を深めた。
最後に松田氏は、「私自身も皆さんがいろいろ考えてくれて、意見が聞けて勉強になった」と謝意を述べた。
鯨肉は共同船舶と(株)g―next(多田雅彦社長)が協力。赤肉はg―nextが色変わりなどを抑え、軟らかさも保つ独自の処理をした商品。味噌漬も試行錯誤を重ね、同社が商品開発したものが提供された。
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