社会に揉まれつらい日々を送っていた時、あきさんが出会ったのは「海の中の世界」。水中写真を中心としたフォトグラファーとして活動しているあきさんにお話を伺いしました。

より身近に海の生き物たちを感じたい

――クジラなどの海の生き物たちを撮るようになったきっかけを教えてください。
写真撮影のきっかけは水族館を綺麗に撮りたかったからです。小さい頃から親に魚釣りに連れて行ってもらえることが多く、幼稚園の頃に遠足で行った海遊館(大阪にある水族館)で自分より何倍も大きいジンベエザメを見た時に完全に心を奪われました。それから水族館に行くたび携帯電話で写真を撮るようになりましたが、もっと綺麗に撮るためにはカメラがあった方が良いと思い一眼レフカメラを購入し、2017年に写真撮影をスタートしました。その後、より身近に海の生き物たちを感じたいと思い水中の世界を撮り始めました。

――今まで見てきた中で、一番印象に残っている生き物はいますか?
存在感で言えば、圧倒的にザトウクジラが印象的です。 6m程度の子クジラですが、ヒレがぶつかりそうな距離まで接近されたことがありました。 好奇心と怖さが入り混じった気持ちで撮影できたのがとても新鮮でしたね。

あまりの迫力に圧倒された初クジラ

――クジラを実際に目の当たりにした感想はどうでしたか?
ザトウクジラを初めて見たのは沖縄で1月～3月頃に開催されているホエールウォッチングでした。 その時は本当に運が良く、10回海に出て1回見れるかどうかと言われるブリーチング (ジャンプ)を見ることができました。約30tの巨体が宙を舞い、入水時には轟音と共に激しい水飛沫が上がる。ただただ感動でした。

――水中で見たザトウクジラの印象を教えてください。
  あまりの迫力に圧倒され、畏怖（いふ）の念を抱きました。 大人のザトウクジラの体長は13mにもなり、それは大型バスと同じサイズ感。初めてみた時は水深20m程度のところであまり動かず休んでいたのを水面から眺めていたのですが、黒い大型バスが沈んでいるような存在感でした。

――コミュニケーションがとれるとしたらクジラに訊いてみたいことはありますか?
人間のことをどう思っているのか訊いてみたいですね。 クジラからすれば人間も小さな存在で相手にすらされてされていないかもしれないですが、それも含めて聞いてみたいです。

――今後撮ってみたい場所や生き物はいますか?
メキシコでシャチやストライプドマーリン（マカジキ）、もしくはトンガ王国でザトウクジラ、オーストラリアでアシカを撮影してみたいです。2023年は国内撮影が中心でしたので2024年は行けるよう計画中です。

――最後に、8月に開催される写真展『RAISON D’ETRE』について教えてください。
本展では、御蔵島のミナミハンドウイルカと沖縄・奄美大島で撮影したザトウクジラの美しい水中世界を楽しんでもらえると嬉しいです。上京して3年。社会の息苦しさに苛まれていた時に出会ったのが水中の世界でした。自分の呼吸音と生き物の声以外は何も聞こえない海の中で10mを優に越えるクジラを観察したり、イルカと目を合わせて泳いだりした時、心の底から”生きていて良かった”と思いました。

本展のタイトル「RAISON D’ETRE」は生きがいという意味です。 私はイルカやクジラといった水中の大型生物と共に泳いで、写真を撮るのが好きで好きでたまらない。そんな想いを伝える展示になっておりますので、体感してもらえると嬉しいです。

▼写真展
タイトル「RAISON D’ETRE」
開催期間：2023年8月8日(火)~13日(日)
11:00~19:00(最終日のみ17:00)
開催場所：弘重ギャラリー(B1F)
開催住所：東京都渋谷区恵比寿南2−10−4
入場料 ：¥500
展示内容 ：御蔵島で撮影「ミナミハンドウイルカ」と沖縄、奄美大島で撮影「ザトウクジラ」を最大A0サイズの写真を含め、約30点を展示。

■あき
フォトグラファー
大阪府生まれ、東京在住。
水族館の生き物を綺麗に撮影したいことがきっかけで写真を始める。現在は水族館、ライブ撮影の他、雑誌、Webメディアへの寄稿なども行う。
2023年 国際フォトコンテスト8TH 35AWARDS「UNDERWATER PHOTOGRAPHY」で100Best photo選出、Top35 photographers選出

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