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2022.05.06

【クジラの油編】vol.2~勇魚文庫所蔵クジラアイテム~

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千葉県南房総市のクジラ資料館『勇魚(いさな)文庫』所蔵のクジラアイテムを紹介する連載企画。第2回目は「クジラの油編」です。 成長したオスのマッコウクジラは体長が約16mにもなり、約2.5トンもの量の油(=鯨油)を蓄えていることをご存じでしょうか? マッコウクジラが海の奥深くへと潜ることができるのは鯨油のおかげ。冷たい水で冷やされた油がワックス状に変化することで、海底深くまで潜水することが可能なんです。反対に水面へと浮かんでくるときには、頭部の毛細血管に血液を送り込むことでワックスを溶かして液状に戻しているんだとか。なんともよくできていますよね!また、マッコウクジラだけでなく、ヒゲクジラ類の骨や皮にも鯨油が含まれています。 マッコウクジラの脳油は工業用で、精密機械の潤滑油やロウソクやせっけんの原料として使用されていましたが、ヒゲクジラの鯨油は食用とされ、マーガリンなどがつくられていました。 今回は、そんな鯨油から作られた品々を紹介します。鯨油は灯火や機械油など、とても有益に活用されてきたことを知っていますか?それでは早速紹介します!

まずは、マッコウクジラの鯨油 (脳油) を 精製して ボトリングしたもの(写真上)。 「NY OIL」と商品名が確認できます。こちらは 潤滑油などとして使用することができます。 アメリカ有数の捕鯨基地であったマサチューセッツ州のニューベッドフォードで作られていました。 どのような環境下でも凍らないマッコウクジラの脳油はアメリカやソ連(当時)の宇宙開発には欠かせない存在だったと言われているそうです。(勇魚文庫蔵)

こちらは、マッコウクジラの時計油(写真上)。 かつて良質な機械油の代名詞はマッコウクジラの脳油だったそうです。ボトルのデザインがかわいくて飾っておきたくなりますね。英語ではFor Pendulum(振り子用)と書かれており、輸出もされていたのではないでしょうか?(勇魚文庫蔵)

鯨油を原料とする粉石けん(写真上・右)と石けん(写真上・左)です。 石鹸づくりには油は不可欠で、マッコウクジラの油を使ったもの。 固形石鹸はバルサム(グリーン)とブルーベリー(ホワイト)の香りで ”Dirt Killer”というネーミングがなかなかのセンスです!(勇魚文庫蔵)

こちらは、マッコウクジラの鯨油で作られた蝋燭(写真上)です。 こちらは アメリカ捕鯨の中心地であったマサチューセッツ州のナンタケット島で生産されていたらしく、 脳油で作られたろうそくはススが出なかったといわれています。  パッケージがかわいくて使うのがもったいないですよね! オレンジ色のものは教会用の特注品だったとか。昔のものであるにも関わらず、白いろうそくもシミひとつなく新品のようですね。(勇魚文庫蔵)

最後に紹介するのはベルトワックス(写真上)。 機械に使われていたベルトの潤滑油として使われていました。 周りの紙こそ劣化していますが、 キレイに紙を取り除けばまだまだそのまま使えるかもしれませんね。 Osaka Whale Wax Co. の文字が確認できることから国産と思われます。(勇魚文庫蔵)


かつて、欧米の捕鯨が鯨油を主な目的として行われていたこともあり、当時の鯨油製品は海外に輸出・輸入されることが多かったため、パッケージも英語で書かれていることが多いとか。今ではなかなか手に入らないクジラの油・鯨油の貴重な資料のご紹介でした!

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