小型捕鯨基地・和田浦でクジラの解体を見学してみない? 小中学生の夏休みの自由研究にも! | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2022.01.12

小型捕鯨基地・和田浦でクジラの解体を見学してみない? 小中学生の夏休みの自由研究にも!

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©外房捕鯨株式会社

日本では、母船式捕鯨業のほか、全国6か所での基地式捕鯨業(小型捕鯨業)がおこなわれています。

©外房捕鯨株式会社

6か所の基地のうちひとつが、千葉県南房総市和田浦。捕獲されているのは、ハクジラ類の一種である「ツチクジラ」。ハクジラ類のなかではマッコウクジラに次ぐ大きさで、体長は10~13メートルほどにものぼります。
この地域では約400年も前から沿岸捕鯨がおこなわれていました。
江戸時代には鋸南町の勝山で捕鯨がおこなわれていましたが、
現在では和田町が拠点になっています。

捕獲したツチクジラの脂肪層から搾った油は害虫駆除剤として活用され、さらに、内臓や骨も柑橘類の肥料にするなど、肉以外のすべての部位もありがたく活用してきたといいます。

ちなみに、棒状に伸びたくちばしが木槌(きづち)に似ていることから、“ツチ”クジラと呼ばれるようになったんだとか。

©外房捕鯨株式会社

和田町でツチクジラを捕獲および解体しているのは、南房総市和田町に本社を構えている「外房捕鯨株式会社」。 房総の沿岸捕鯨の伝統を受け継ぐ唯一の会社で、昭和23(1948)年に創業されました。最近はSNSやブログでの発信にも積極的。水揚げがあった日や解体をする際にも随時発信しているため、クジラの解体を一目見たいと遠方からも見学希望者が訪れています。

▲コンクリートから出ているのはクジラを繋ぎとめておくためのクイ

南房総市といえば東京都内からすぐに駆け付けても2時間はかかるのに、なぜ解体見学に間に合うかというと、捕獲後、17~18時間にわたって海中に寝かせておくから。そうすることで、そのまま引き上げるよりも肉が柔らかくなるのだとか。

 17~18時間にわたって繋ぎとめておいたクジラは、その後、解体場(写真上)に引き上げられます。解体に携わるスタッフは15人強。引き上げた後は、①解剖 ②細割 ③成形(加工)の3つの工程で処理されます。

解剖した後に肉を7~8kgごとに小分けにする(=細割)際に使うのは、大人の身長ほどもある大包丁(写真上・右)。その後、小包丁(写真上・真ん中)と手鉤(てかぎ/別名:ノンコ/写真上・左)を使って、扱いやすいサイズに加工されます。

解体の手順を教えてくれた外房捕鯨の阿部龍太さん(写真上)によると、大包丁などの道具は、各自が使いやすい大きさに調整しているため長さは人によってまちまち。5頭目から10頭目の解体に関わるころには、自分にとってちょうどいい長さがわかってくるのだといいます。

▲ブロック大の大きさにカットしたクジラ肉は氷で冷やしておくそう 

解剖から細割に要する時間は1時間から1.5時間程度で、成形(加工)かかる時間は3時間ほど。ブロック大になるまでに4.5時間ほどかかるということになります。

見学者のなかには小学生や中学生もいますが、水揚げがある時期は毎年6~8月頃のため、夏休みの自由研究のために見学にくる人もいるのだそうです。また、成形されたクジラはその場で購入もできるため、新鮮なクジラを求めて買い物に来る人もちらほら。地元に住んでいないとなかなか経験することは難しそうですが、土日などでタイミングが合えば、和田浦の観光がてら、捕れたてのクジラめがけて車を走らせるのもいいですね。自宅での料理に自信がないなら、和田浦で人気のクジラ料理店巡りも◎! 解体作業を見学がてら、地元の人におすすめを聞いてみるのも楽しいかも!

外房捕鯨株式会社
〒299-2703千葉県南房総市和田町仁我浦958
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