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兵庫栄養調理製菓専門学校で『くじらを学ぼう』セミナー開催。飲食業界を目指す学生たちがクジラ料理に挑戦!

11月27日、兵庫栄養調理製菓専門学校にて、クジラについて学び、クジラを調理して、クジラを食べるセミナーが開催されました。参加したのは、同校で学ぶ学生たち。講義を通してクジラの生態や栄養について学んだ後、実際に鯨肉を使った料理に挑戦しました 。

▲ 一般財団法人日本鯨類研究所広報室 久場朋子さん

はじめに教壇に立ったのは、一般財団法人日本鯨類研究所広報室の久場朋子さん。「クジラという生き物」「捕鯨の歴史」「現在の捕鯨」「クジラの調査研究」の4つをテーマのもと、クジラについて説明すると、普段間近に見ることのない生き物だけに、生徒たちも興味深そうに聞き入っていました。

続いては、女子栄養大学食品生産科学研究室准教授の西塔正孝先生が、クジラの栄養について解説。クジラは重要なタンパク源であること、クジラの脂肪には、健康維持に役立つn-3系脂肪酸が豊富に含まれていること、クジラに含まれているバレニンには抗疲労効果が期待できることなどを説明すると、熱心にメモを取る学生の姿もチラホラ。牛や豚、鶏の栄養価とも比較しながら、クジラの栄養価の高さについて学んだことで、鯨肉の可能性について興味を抱いた学生も多かったようです。

▲兵庫栄養調理製菓専門学校准教授 富川美紀先生
▲兵庫栄養調理製菓専門学校准教授 富川美紀先生

お待ちかねの調理実習前には、兵庫栄養調理製菓専門学校准教授の富川美紀先生が、「くじら赤肉のソテー トロピカルフルーツソース仕立て」および「くじら赤肉のチリコンカン」の調理をデモンストレーション。クジラをおいしく食べるためのコツを解説しました。

デモンストレーション後は、生徒たちによる実践がスタート! ほとんどの学生が、鯨肉を扱うのは初めてといいますが、さすが料理の道を志すみなさんはとても器用に次々と料理を完成させていきます。

▲上野さん

「クジラを食べたのは小学校給食の竜田揚げ以来」という上野さんに話を聴いたところ、「やわらかくて調理しやすい! 赤肉なら骨も皮もないから簡単に扱えるとこも魅力ですよね」と楽しそうな笑顔を見せてくれました。隣の調理台で赤身肉をカットしていた磯崎君も同じく、鯨肉のやわらかさには驚いた模様で、「初めて調理したけど、全然臭みがないんですね」とコメントしてくれました。

▲くじらの皮の白みそおでん

調理が終わると、富川先生が事前に作っておいてくれた「クジラの皮の白みそおでん」も用意され、生徒たちは、「くじら赤肉のソテー トロピカルフルーツ仕立て」「くじら赤肉のチリコンカン」と合わせて3品を実食。白味噌仕立てのやさしい味のおでんに入ったクジラ皮を食べた磯崎さんは、「赤身肉とは違って脂が多いんですね」と部位による違いにびっくり。「一番おいしいのはソテー! 今日講義を受けてクジラの栄養価がすごく高いことも知ったから、これからは日常的にもクジラを食べていけたらいいなと思います」とも語ってくれました。

▲ 磯崎さん

上野さんは、「噛み応えがあるから、肉だと言われても信じそう。いろんな料理に使えるし味もおいしいから、簡単に手に入ればもっといいのになと思いました。栄養もたっぷりで肉よりいいところもありますしね」と、流通の充実を望んでいました。

セミナーおよび調理実習終了後、生徒たちは、味や調理法、栄養面の満足度のほか、「今後食材として積極的に使っていきたいか」などのアンケートに回答。61名の参加者のうち26名が、総合評価10点満点中10点を付けるなど高評価でした。

自由記入欄には、「牛肉や豚肉と同じように調理できるし、栄養価も高いからいい食材だと思った」「調理も食べたのも初めてだけど、すごくおいしかった」「もう少し血なまぐさいのかと想像していたけど、全然そんなことはなくて食べやすかった」「食感は牛肉のようだけど脂は口に残らないところが気に入った」などの声が寄せられました。

初めてのクジラ料理は生徒たちにとって、調理して楽しく、食べておいしいものとなったようですね。セミナー参加を機に、これから積極的にクジラ料理を作って、食べてくれる人がますます増えていきそうです!

※このセミナーの内容は月刊誌「栄養と料理」3月号(2/9一般発売)に掲載される予定です。

【くじら赤肉のソテー トロピカルフルーツ仕立て】

■材料
・くじら赤肉      250g
・塩 小さじ      1/2杯
・スパイスミックス  小さじ1杯
・オリーブオイル   大さじ1杯
・ズッキーニ      1/2本
・ミニトマト      100g
・黄色パプリカ     1/2個
・タマネギ       1/2個
・チャービル      少々
(トロピカルフルーツソース)
・パイナップル     100g
・トマトケチャップ    50g
・粒マスタード    小さじ1杯
・淡口醤油      小さじ1杯

■作り方
①フライパンでオリーブオイルを温め、塩・スパイスミックスをまぶしたくじら赤肉の4面に焼き色がつくまで焼く。
②焼いた肉をアルミホイルに包み、5分間寝かす 。
③肉を寝かしている間に、タマネギを短冊切りにして炒める。
④タマネギに火が通ったら、ミニトマト・黄色パプリカ・ズッキーニを加えて炒める。
⑤寝かせた肉から出た肉汁を、予め材料を混ぜておいたトロピカルフルーツソースに加える。
⑥トロピカルフルーツソースを④に加えて沸騰させる。
⑦肉を1cm幅にカットして、⑥に加える。
⑧全体になじんだら、お皿に盛り付けてチャービルをトッピングして完成。

【くじら赤肉のチリコンカン】

■材料
・くじら赤肉     250g
・タマネギ      1個
・にんじん      1本
・にんにく      1片
・生姜        1片
・蒸し大豆      200g
・トマトソース    1缶
・オリーブオイル  大さじ2杯
・パセリ       少々
<合わせ調味料>
・トマトケチャップ  50g
・濃口醤油      大さじ1杯     
・とんかつソース  大さじ2杯
・水           100ml
・コンソメ顆粒    小さじ1杯
・レッドペッパー、ナツメグ、オレガノ  少々

■作り方
①直径18cmの西洋鍋(あれば)にオリーブオイルを注ぎ、細かくカットしたにんにくと生姜を加えて、きつね色になるまで弱火で炒める。
②大豆程度の大きさに細かくカットしたタマネギとにんじんを加えて、全体的にしんなりするまで炒める。
③合わせ調味料の材料をすべて合わせたものを②に投入して、柔らかくなるまで炒める。
④蒸し大豆、トマトソースを加えて炒める
⑤沸騰したらくじら赤肉を加えて味をなじませる。
⑥器によそってパセリを散らしたら完成 。
※完成したチリコンカンの半分を別の鍋に移して、水で溶いたカレー粉を加えて沸騰させると、キーマカレーversionの味も楽しめます。