90歳の現役職人が手仕事で紡ぐ。捕鯨の町・鮎川の歴史と愛らしさを伝える「くじらもなか」の物語 | 聞く | くじらタウン

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2026.09.16

90歳の現役職人が手仕事で紡ぐ。捕鯨の町・鮎川の歴史と愛らしさを伝える「くじらもなか」の物語

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宮城県石巻市鮎川、かつて日本有数の捕鯨基地として栄えたこの町で40年以上にわたり愛され続けている名物菓子があります。それが「くじらもなか本舗」の「くじらもなか」です。愛らしいクジラの形をしたもなかの中には、保存料や添加物を一切使わず、丹精込めて煮上げられたこだわりの餡が詰まっています。

今回は、90歳を迎えた現在も現役の職人としてお店に立ち続ける代表の鈴木様と、長女で広報担当取締役の有吉様に、誕生の背景からもなか作りへのこだわり、そして未来へ繋ぐ想いをお伺いしました。

「くじらもなか」誕生

── 1984年に「くじらもなか」が誕生したきっかけや当時の経緯について教えていただけますか?
「もともとのきっかけは、『捕鯨基地である鮎川の歴史や、クジラの姿をそのまま残せるようなお土産を作ってほしい』という強いご依頼をいただいたことでした。当時オープンした観光施設「ホエールランド」などにも商品を納入させていただく中で、地域のシンボルとなるお菓子を目指して開発がスタートしたんです。」

「うちには『台ちゃん』という、くじらのキャラクターがいるんです。
これは、くじらもなかを始めた頃に家族で考えて作ったものでね。名前は、くじらの雄大な姿からイメージした「だいちゃん」という響きに、『仙台』の“台”を当てて、『台ちゃん』と付けました。最初は店のキャラクターとして生まれた台ちゃんですが、長い間ずっと、くじらもなかと一緒に歩んできました。今では商品や包装にも登場して、店の顔みたいな存在になっています。こうして昔からのものを大切にしながら、今の時代に合った形でまた皆さんに親しんでもらえるのは、うれしいことですね。」

── 当時、石巻市鮎川は捕鯨基地として非常に活気があったかと思います。鈴木社長や有吉様にとって、当時の「クジラ」や「鯨食文化」はどのような存在でしたか?
「 私は仙台育ちなので鮎川と四六時中密接だったわけではありませんが、子供の頃から父がクジラの刺身やベーコンを美味しそうに食べている姿が日常にありましたね。地元では本当に身近な食材でした。 私自身は子供の頃、竜田揚げが食卓に出てくるのが楽しみでしたね。地域の人々にとって、クジラは親しみ深く、食生活に深く根付いていた存在でした。」

「譲れない製法」

── もなかのモチーフとして「クジラ」を選び、形にする上でこだわった点や苦労された技術はありますか?
「ただクジラの形にするだけでなく、『かわいらしさ』と『美味しさ』を両立させることに徹底的にこだわりました。

製法面での一番のこだわりは、創業当時から変わらず『保存料や添加物を一切使用しないこと』です。シンプルだからこそ誤魔化しが効きません。もなか作りで絶対に譲れないのは、『あんこをきちんと煮きること』。その日の気温や湿度に合わせて糖度や火加減を細かく調整しています。現在はフレンチパティシエだった方が新たな職人として一緒に製造しているんですよ」

世代を超える思い出

── 鈴木社長は90歳になられた現在も現役で仕込みや店に立ち続けていらっしゃいます。その活力の源は何でしょうか?
「お菓子を作るのが好きなんです。季節ごとに、今度は何を作ろうかと考えるのも楽しいですね。お客様に“おいしかったよ”と言ってもらえるのが一番うれしいです。40年やってこられたのも、皆さんに支えていただいたおかげです。」

── 長年作り続けてきた中で、特に心に残っているお客様とのエピソードはありますか?
「うちは無添加で、もなか皮も国産のもち米100%で作っていますから、安心してお子様にも食べさせていただけます。赤ちゃんの頃に『くじらもなか』を食べていた子が、小学生になって自分のお小遣いで1人で買いに来てくれたり。あるいは、学校の体験学習で店に来た小中学生が、大人になって自分の赤ちゃんを抱っこして『また来ました』と訪ねてきてくれたり……。世代を超えて思い出の中に『くじらもなか』が生き続けているのを感じるとき、職人としてこれ以上の喜びはありません。」

「東日本大震災の直後は、食べるものもなかなか手に入らないような状況でした。そんな中で、『甘いものを食べたら、少しは元気になってもらえるんじゃないか』と思って、なじみのお客さまやご近所の方に、くじらもなかをお配りしたんです。震災で型崩れしてしまった皮もありましたが、それでも皆さん、とても喜んでくださってね。あのときは、形がどうこうというより、「甘いものがうれしい」と言ってもらえたことが、こちらもうれしかったです。」

「その後、JR東日本の「行くぜ、東北。」のポスターにも、くじらもなかを取り上げていただきました。震災のときは、本当にたくさんの方に支えていただきましたからね。だから今も、何かあったときには、今度はこちらが少しでもお返しできたらと思っています。くじらもなかで、誰かがちょっと笑顔になってくれたら、それが一番うれしいですね。」

縁起物としての「くじら」を全国へ、そして世界へ

── これから若い世代や全国の方々へ、「くじらもなか」を通じてどのようなメッセージを伝えていきたいですか?
「クジラは大海原を雄大に泳ぐ姿から『景気がいい』『未来を感じられる』とされ、昔からとても縁起が良い生き物とされています。『かわいい!美味しい!』という親しみやすい入り口から、クジラと地域のつながりや歴史に興味を持っていただけたら嬉しいですね。」

── 今後の店舗の展望や、新たに挑戦してみたいことはございますか?
「まずは、これからも仙台で一つひとつ丁寧に作りながら、くじらもなかをもっと多くの方に知っていただきたいですね。海のある町や水族館など、クジラにゆかりのある場所にも少しずつ届けていけたらと思っています。その先には、日本のお菓子文化の一つとして、海外の方にもくじらもなかを味わっていただけたらうれしいですね。クジラをきっかけに、いろいろな土地や人とつながっていけたらと思っています。日持ちがして栄養豊富なもなかは、長期航海に出る捕鯨関係者の方々の船内のお供にもぴったりです。現場で働く方々にもぜひ味わっていただきたいですね。」

敬老の日のギフトにも

── 愛らしいクジラの姿は、ご長寿や未来の発展を願う贈り物として、特に「敬老の日」などのギフトにも最適ですね。おすすめの味わい方があれば教えてください。
「 季節に応じた楽しみ方がありますよ。夏場は思い切って冷凍していただくと、ひんやりとした新しい食感の和スイーツになります。逆に冬場はトースターで20秒ほど少し温めていただくと、皮がパリッとして中のあんこの風味が良くなり、出来立てのような風味が楽しめます。大切な方への贈り物に、ぜひ試してみてください。

── 最後に、石巻市鮎川を訪れる方へ、おすすめの「地元ならではの鯨料理」があれば教えていただけますか?
「やっぱりイチオシは『クジラのお刺身』ですね!地元の少し甘めのお醤油をたっぷりつけて食べるのが一番美味しい食べ方です。鮎川にお越しの際は、美味しい鯨料理を堪能して、お土産にぜひ仙台に寄り『くじらもなか』も連れて帰っていただければ幸いです。」

大海原を泳ぐクジラのように、時代を超えて人々の笑顔と地域の歴史を載せて歩んできた「くじらもなか」。90歳を迎えた職人の手から生まれるそのひとつひとつには、美味しさだけでなく、食べる人への優しさと温かな願いが込められています。

ご自身へのおやつにはもちろん、大切な方への季節のご挨拶やご長寿を願う贈り物として、可愛らしく味わい深い「くじらもなか」を選んでみてはいかがでしょうか。石巻市鮎川の歴史と温もりあふれる味わいが、きっと心解きほぐす特別な時間を届けてくれるはずです。

90歳になっても尚、店舗に立ち続ける店主・創業者の鈴木昭爾(すずき しょうじ)さん

■店舗情報

【本店】

店名:
くじらもなか本舗

住所:〒980-0821 宮城県仙台市青葉区春日町10−23 1階B号室

アクセス:仙台市営地下鉄南北線「勾当台公園駅」から徒歩約8〜10分

営業時間:平日 10:00 – 18:00 (日・祝は10:00 – 17:00)

定休日:火曜日(臨時休業あり)

お問い合わせ:022-261-4490

X@kujiramonaka

Instagram:@kujiramonaka

【S-PAL仙台・東館2F「伊達のこみち」】

住所:〒980-0021宮城県仙台市青葉区中央1丁目1ー1

営業時間 : 日~木 10:00 – 20:00 
     金・土・祝前日 10:00 – 21:00

お問い合わせ:022-267-2111

【仙台駅3新幹線中央改札内「せんだいおみやげ処6号」】

住所:〒980-0021宮城県仙台市青葉区中央1丁目1ー1

営業時間 : 6:30~21:50

お問い合わせ:022-716-5751

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