「クジラが暮らす豊かな海を守るためにも、水に感謝して、水を大切にしてほしい」元水泳選手・萩原智子さんinterview | 聞く | くじらタウン

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2023.06.28

「クジラが暮らす豊かな海を守るためにも、水に感謝して、水を大切にしてほしい」元水泳選手・萩原智子さんinterview

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水泳日本代表としてシドニー五輪などで活躍後、テレビやラジオでの水泳の解説のほか、ライターとしても活躍している萩原智子さん。さらに近年は、水を通してcommunication(通じ合う)education(教育)“水ケーション”にも注力している精力的な彼女に、大海を泳ぐクジラは大きな力を与えてくれるはず。そこで今回、鯨肉24時間無人販売店『くじらストア』で販売されている赤身で作った「鯨のカルパッチョ」、『木の屋石巻水産』の人気商品、鯨肉100%使用「イタリアンバーグ」の2品を召し上がっていただきながらお話を伺います。クジラについての解説を担当してくれるのは、「日本鯨類研究所」の早武真理子さん。萩原さんからも、クジラについて気になったことをどんどん質問していってもらいます。

クジラを初めて食べようと思った人ってすごいと思う

萩原「私、クジラを初めて食べようと思った人ってすごいなと思うんです。“海にいるものだから食べられるだろう”って思ったんですかね」
早武「確かにそうですよね。日本では、座礁したクジラのことを“寄り鯨”と呼び、ありがたく命をいただいてきた歴史がありますが、後に、活きのいいクジラも積極的に捕るようになっていきました。クジラはタンパク質も良質な油も豊富に含有しているので、当時の人たちにとっては大切な栄養源だったんです」
萩原「貴重な食材だったんですね。一頭で7つの村が潤った という話を聞いたことがあります」
早武「その通りです。頭の先から尻尾の先までいろんな料理に使われますし、骨やヒゲは工芸品の材料になっています。肉は部位や地域によって食べ方が異なり、たとえば酒蔵が多い地域では粕汁に入れられたり、捕鯨が盛んで新鮮な鯨肉が手に入る地域では刺身を好んで食べたりしています」
萩原「お刺身でも食べられるんですか? 知らなかったです」
早武「お刺身はとってもおいしいですよ。あと、給食のメニューとして人気の竜田揚げは全国区で人気ですね」
萩原「給食に⁉私は山梨県で育ったんですけど、子どものころも大人になってからもクジラを食べたことがないんです」

ナショナルトレーニングセンターでもクジラメニューを提供してほしい

早武「クジラはすべて養殖ではなくて天然のものなので、ほとんどの部分は赤身と脂がある皮とに分かれています。特に赤身部分はスポーツする方の身体作りには最適ですよ。タンパク質も豊富に含まれています」
萩原「現役時代は常に高タンパクな食事を意識していたんで、そのときにクジラが身体にいいことを知っていたらよかったのに……! という思いでいっぱいです」
早武「アスリートの方は良質なタンパク質だけを摂取するために、豚肉は脂身をとって、鶏肉は皮を剥いで摂取すると聞きますが、クジラの赤肉にはもともと脂質が少ないので、まるごと食べられるのも魅力です。さらに、抗疲労成分である『バレニン』や鉄分が豊富なことや、EPA、DHA、コラーゲンが含有されていること、アレルギーの原因となりにくいことなども大きな特徴です。最近では、脳神経の回復を促す成分が含有されていることにも注目が集まっています」
萩原「いいことづくしじゃないですか。ナショナルトレーニングセンター(日本のトップレベル競技者用トレーニング施設)のアスリート食堂にクジラのメニューがあれば絶対人気が出ると思います」

クジラの部位ごとの食べ比べは夏休みの自由研究のテーマにもなりそう

萩原「部位によって摂取できる栄養素が異なるのですか?」
早武「栄養素も味も食感も異なります。たとえば、高級部位とされる尻尾部分にはサシが入っているし、心臓は、焼肉でいうところのハツのような味。でも、身体のほとんどが赤肉といわれる脂肪が少ない肉でできています」
萩原「部位ごとの食べ比べして夏休みの自由研究として発表したらよさそうですね。栄養素としてもすごくおもしろいのに、なんで私たちはあまりクジラのこと知らないんだろう?」
早武「日本が、世界の海でクジラの資源管理をしている国際捕鯨委員会(IWC)に加盟していた30年以上の間、クジラを食べる機会が少なくなってしまったのが大きな原因です。2019年6月にIWCを脱退して、翌月の7月からは商業捕鯨を再開していますが、それぞれの鯨種の“捕獲しても全体の数が減らない頭数”を計算することで、資源管理も徹底しているんですよ。ちなみに、世界には89種類のクジラが確認されていますが、いま日本が主に捕獲している鯨種は、イワシクジラ、ニタリクジラ、ミンククジラの3種類です」
萩原「小学校の国語の教科書に載っていた『くじらぐも』はどの鯨種だろう?」
早武「ありましたね! 教科書の挿絵を見返して、自分なりに考察するのも楽しいかもしれませんね!」

鉄分も抗疲労成分も豊富なクジラを現役時代から食べておきたかった

――ではこのへんで試食をお願いしたいと思いますが、栄養面のお話など聞いていかがでしたか?

萩原「アスリートにとって魅力的な栄養素の宝庫なのに、現役時代に知らなかったことが悔やまれます。昔は、練習しすぎて食欲が沸かないときは、母が、消化にもよくちゃんとタンパク質も摂取できるものを作ってくれていましたが、あの時代に、鉄分もバレニンも摂取できるクジラの赤肉のことを知っていたらなあと考えました。母はクジラのハリハリ鍋が好きだったらしく、テレビ番組などで見かけるたびに“食べたいなあ”って話していたんですけど、今日お話を聞いて初めて、私もハリハリ鍋に興味が沸いてきました(笑)」

臭みもクセもなくてやわらかい赤身は、マグロ好きな子どもも喜んで食べると思う

――それはよかったです。ではまずカルパッチョからどうぞ。

萩原「やわらかい! もっと臭みがあるのかと思っていたけど、全然ないですね。まったく臭みがないし、クセもない。レモンがさっぱりしていてよく合っているし、すごく食べやすいです。息子がマグロのお刺身が大好きなんで、試食させたら絶対喜んで食べる気がします。見た目は牛肉のたたきっぽいし、鉄分が詰まっていることもよくわかりますね。身体にもいいのが一目瞭然です」

クジラのハンバーグの缶詰を常備しておけば、忙しい日に重宝しそう

――ハンバーグはいかがですか?

萩原「これは、何も言わずに出されたらクジラだとは思わないですね。鯨肉100%だなんてびっくりです。しかも、加熱すると固くなるかと思いきや、本当にやわらかい」
早武「(ハンバーグに使われている)須の子は、赤肉とスジの両方が入った部位なので、加熱するとトロトロになるんです」
萩原「本当にアスリート食堂で出してほしい。こんなにおいしくて疲労回復効果があるだなんて、絶対みんな食べますよ。アスリートをサポートしている栄養士さんに、クジラのことをもっと知ってほしいです。でもこれ、缶詰ですよね?家庭に常備しているのもいいかも。仕事して疲れて帰ってきて、料理を作るのがしんどいなっていうときも、これを温めたらあとは野菜を足すだけだから楽ですよね。ハンバーグは子どもも大好きなメニューだから、お子さんがいる家庭にもうってつけだと思います。私も、家族の食卓にとりいれていきたいです」

豊かな森が豊かな海を作っている

――クジラは、水に慣れ親しんできた萩原さんとは相性がいい食材かもしれませんね!

萩原「そうですよね。クジラも私も、水とは関係が深いですよね。でも実は私、現役時代は自然豊かな山梨で過ごして、ずっと水のなかで競技を続けていたのに、そうした環境がどれほど贅沢であるのか気づかなかったんです。たとえば、カキの養殖をしている人は、“森が豊かじゃないと海も豊かにならないんだよ”とおっしゃいますよね。海も森も山も密接につながっているし、私たち人間の生活も水に支えられています。そう考えると、水があって当たり前ではない、ありがたいものなのだと、水に対する感謝の気持ちが沸いてきます」

水をテーマに学べることはたくさんある

――水をテーマに、子どもたちへの教育とコミュニケーションを図る“水ケーション”活動でも全国を飛び回っていらっしゃいますね。

萩原「私自身、活動を通して学ぶことも多く、子どもたちに感想を聞いて、ハッとさせられることも多いです。トイレを一回流すたびに平均6リットㇽの水を使っていることなど、身近な例を挙げて説明することも多いのですが、それに対して“水を大切にしたい”だけじゃなく、“水のことも大切にしたいし、みんなのことももっと大切にしたい”という感想を伝えてくれる子もいます。水を切り口に、そこまで思いを広げることができるなんて、子どもたちのほうが大人ですよね」

7月14日スタートの”世界水泳選手権2023福岡大会”をみんなで応援しよう!

――クジラという資源を守り続けるためにも、ぜひこれからもたくさんの子どもたちに水の大切さを伝え続けてあげてください。

「ありがとうございます。今後の活動予定はSNSなどでも発信していきますので、ぜひチェックしてもらえるとうれしいです。それと、7月には22年ぶりに福岡で世界水泳が開催されるので、みなさんもぜひ一緒に応援しましょう。個人的に注目しているのは高校生の成田実生選手。初めての大舞台で緊張すると思いますが、思い切りチャレンジしてほしいです。そして自由形とバタフライの松元克央選手。ここ数年の悔しい想いを胸に厳しい練習を積んで調子が上向きです。自由形でも世界で戦える姿を見せてほしいです。日本のトップを走るふたりがどんな泳ぎを見せてくれるのか注目です!」

▼萩原智子さん
元水泳選手
現在はテレビ・ラジオ出演や水泳の解説のほか、ライターとしても活動の幅を広げている。また、「水の大切さ」 や「水の教育」にも取り組む水でエデュケーション・コミュニケーションする「水ケーション」水ケーション~森と水の授業~ (sportsbacks.com)の活動にも注力している。    
水ケーション

▼レシピ&商品の詳細
鯨のカルパッチョ
イタリアンバーグ

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