「クジラのおいしさに気づいたら、みんな“食べたい!”ってなると思う」スピードスケート 松井大和さん | 聞く | くじらタウン

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2023.02.22

「クジラのおいしさに気づいたら、みんな“食べたい!”ってなると思う」スピードスケート 松井大和さん

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北海道で生まれた松井大和選手にとって、スピードスケートとの出逢いはごく自然なもの。冬になると体育の授業で校庭につくられるスケートリンクで滑っていただけでなく、スケート教室に通い始めたお姉さんにくっついていった際、クラブチームに声をかけられてから滑ることが日常に。中学のころは、夏は野球、冬はスケートを楽しんでいたといいますが、高校生になると全国大会に出場して500mで銅メダルを獲得。プロを目指して日本大学に進学し、2021年のワールドカップソルトレークシティ大会で初優勝を飾るなどの結果を残してきただけに、食事面を含めた健康管理が気になります。そこで今回は、スピードスケートに必要な持久力向上にも役立つバレニンをたっぷり含んだクジラ料理を食べていただきながら、日本鯨類研究所の久場朋子さんとともにお話を伺います。

初めて食べたクジラは肉というよりマグロみたいだった

――今日はクジラの「ユッケ丼」「コロのおでん」を召し上がっていただきながらお話を伺いますが、松井選手はこれまでクジラ料理は食べたことがありますか?

松井「日大の寮にいたころ、夕食に出たことがあります。寮の食事はバイキング形式だったので、それぞれのメニューに説明が書いてあったんですけど、クジラ料理を見たのはそれが初めてでしたね。どんな料理だったかは思い出せないんですけど、肉というよりはマグロに近いような食感だったと思います」

久場「松井選手のように若い世代の方たちにクジラを食べてもらえるのはうれしいですし、いろんな部位をいろんな調理法で楽しんでほしいです。クジラの体の外側には脂皮と呼ばれる厚い脂肪部分があり、その内側に赤肉と呼ばれる筋肉の部分があります。皮と赤肉は全然味が違いますし、脂肪を赤肉の外側に蓄えるので、赤肉には牛肉のようなサシがほぼないのです。なので、脂肪を避けてタンパク質のみ摂取したい人にもぴったり。アスリートにはまさにうってつけだと思います。高たんぱく低カロリーで筋肉強化にも役立つし、皮の部分にはDHAやEPAが豊富です。クジラは哺乳類だけど海で暮らしているから、魚の栄養素も入っているのも大きな特徴です。それから、抗疲労効果が高いバレニンも含有されているので、運動量が多い人には特におすすめです」

スピードスケートは乳酸が溜まりやすいから、抗疲労効果が期待できるバレニンは積極的に摂取したい

――アスリートとして日ごろから食事の栄養は意識されていますか?

松井「身体にいい栄養素は気になりますね。抗疲労効果が期待できる栄養素は、渡り鳥に多く含まれていると聞いたことがありますが、それがバレニンですか?」

久場「そうです。渡り鳥はバレニンを含有しているおかげで海を渡ることができますが、渡り鳥は身体が小さいぶん、一羽に含まれているバレニンはすごく少ないです。一方、クジラは一頭から大量の肉がとれるから、わたしたちが食事として摂取することで抗疲労効果を得やすいといえます」

松井「スピードスケートは乳酸が溜まりやすい競技なので、抗疲労効果が期待できる栄養素は積極的に摂取したいですね」

赤身と尾の身はユッケ丼に、コロはおでんにすごく合う!

――ぜひ日ごろからクジラ料理を楽しんでいただきたいです。まずは、クジラ料理と海鮮の専門店『鯨の胃袋』さんがご用意くださった「クジラ赤身と尾の身のWユッケ丼」「コロのおでん」をぜひお召し上がりください。

松井「ユッケ丼、めちゃくちゃおいしい! 全然くクセを感じないですね」

久場「よかったです。赤身、尾の身の2種類の部位が使われているのですけど、尾の身は鯨一頭からわずかな量しかとれないので、とても高級で手に入りにくいのですよ。また尾の身は赤肉とは違い、細かなサシが入っています」

松井「尾の身のほうは、口にすると脂が溶ける感じがしますね。赤身も尾の身も、ユッケ丼っていうメニューにすごく合っている気がします。お店にこのメニューがあったら頼みたいです。コロのほうは脂分が多いけど、さほどクセは感じられない。不思議な食感! 個人的にはコロの皮の部分が好きです。ぷるぷるしていて身体にもよさそうだし、この部位はおでんとの相性が抜群なんでしょうね。どんなに栄養価が高くてもおいしくないものは食べ続けられないけど、コロとユッケ丼なら、身体のためだけじゃなくて、普通においしいから食べ続けたいと思えます」

久場「DHA、EPAも豊富で身体にもいいですよね」

松井「コロでDHA、EPAを摂取して、ユッケ丼でタンパク質を摂れるから理想的です。日々の食事ではいろんな栄養素を摂ることを意識しているんですけど、一番はタンパク質で、肉や魚、卵は食卓から欠かせないので、このなかにクジラもラインナップできたらいいなと思います。マグロみたいに、アボカドと一緒にごま油で和えて丼にしてもおいしそうだし、いろんなアレンジで楽しめそうです」

クジラを買える店も食べられる店ももっと増えてくれたらいいのに

――クジラ料理にもチャレンジしてもらえたらうれしいです。 松井「近くのスーパーで鯨肉を見かけたことがないので、まずは、もっと気軽に買えるようになっていったらうれしいですね。もしくは、クジラ料理のメニューが豊富な飲食店が増えたらなと思います。僕らの世代ってほとんどの人がクジラを食べたことがないと思いますが、このおいしさに気づいたら、みんな“食べたい!”ってなるはずですし、身近にあったらみんなもっと気軽に食べてみることができるはず。それに、そもそもクジラという生き物についても知らないことがたくさんあるから、学べる機会があったらいいなとも思います。食べられるクジラ・食べられないクジラの違い、クジラの生態、クジラの回遊ルート……知りたいことはいっぱいです」

――クジラに興味をもっていただきうれしいです。松井さんの疑問については久場さんにお答えいただきつつ……最後に、松井選手の今後の夢や目標を教えてください。

松井「次のオリンピック(2026年ミラノ冬季五輪)で金メダルを獲ることです! スピードスケートはすごくメジャーな競技というわけではないので、僕が活躍することで、もっと多くの人にこの競技に興味を持ってもらえたらうれしいです。その実現のためにも、クジラをはじめとする健康にいい食材をしっかり摂って身体作りに励み、結果を残していきます!」

■松井大和さん

松井 大和(まつい やまと)
1997年11月24日生まれ。北海道河東郡出身。
スピードスケート日本代表。
2021年のワールドカップソルトレークシティー大会では、500m1本目で世界大会初優勝を飾る。その後も、2022年のワールドカップヘレンベーン大会で上位につける活躍を見せ、2026年開催のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪での表彰台を狙う。
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