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2026.03.18

【捕鯨について考える④】京都府立海洋高校 鯨食から共生社会を考える(日刊水産経済新聞2026年2月27日掲載)

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 初めに、同校で保管されていたクジラのヒゲや歯などの利活用について解説。海外生活経験が長い松田氏は、「日本人はなぜクジラを食べるのかなどと聞かれ、研究を始めた」と述べた。
 現在の日本の捕鯨について、基地式捕鯨は比較的小型の捕鯨船で、沿岸でニタリとミンク、ツチを捕獲し、基地へ運搬。陸上で解体して、主に生鮮で販売。 母船式捕鯨は、排他的経済水域(EEZ)内で、独航船が大型のナガス、ニタリ、イワシを捕獲。母船の関鯨丸へ水揚げして解体。主に冷凍販売すると話した。
 母船式捕鯨の操業の動画では、「大きなナガスは4~5時間、ニタリやイワシは1~2時間で解体する」と述べた。
 日本の捕鯨史や鯨肉の部位などについても説明。このほか京都でも、かつては舟屋で有名な伊根町で捕鯨があったことを解説した。

 世界で捕鯨している国・地域については、アイスランド、グリーンランド、インドネシアなどを取り上げ、松田氏が撮影した写真を交え説明。
 インドネシアでは今も銛(もり)でクジラを捕獲しており、「かつての捕鯨がイメージできた」と述べた。
 人間は、歴史的には最初は寄り鯨を、続いて沿岸近くの鯨肉を利用。その後、沖合で捕鯨し鯨油やヒゲを使ったコルセットを活用。米国・ペンシルベニアで石油が見つかり同国の捕鯨は衰退。
 一方、南極海では、ソ連、ノルウェー、日本、豪州などの捕鯨が盛んになり、1930年代には年間2万頭超を捕獲。クジラが激減し、国際捕鯨委員会(IWC)で資源管理を実施。第二次世界大戦後、日本人はタンパク質の約半分を鯨肉で摂取した。72年には国連人間環境会議で反捕鯨の流れができたと話した。

 このあと松田氏は、反捕鯨団体が捕鯨を激しく妨害する動画を披露。商業捕鯨モラトリアムが長く続き、日本は2019年にIWCを脱退。現在は、EEZ内で資源量調査のもとで、商業捕鯨していると述べた。
 「日本は科学的根拠に基づき水産資源を活用している。私は捕鯨を日本人としてのアイデンティティーの一つと感じている。戦後の食糧難も鯨肉が救った。今は鯨肉を食べなくても生きていける。捕鯨をしなくなれば産業はなくなる。この授業で捕鯨は日本文化の一つであることに思いをめぐらせてもらえたらうれしい」と話した。
 質疑応答の時間には生徒が「クジラは目視で探すのか」と質問。「今は(ドローンなども活用して)機械にも頼って探している」と回答。
 国際平和や社会共生などに関心が高い生徒は、「世界には多様な考え、文化を持った人がいる。共生社会を目指す中で、大切な考えを教えてほしい」と質問。松田氏は「いつも悩む。食に関しては(地域文化なども踏まえて)尊重しないといけない。食料自給率なども考えて、その土地の食べ物を利活用すべきだ。食文化の話は外国人の友人でも並行線で、触れないようにしている」と語った。「日本にもいろいろな人がいる。自分の価値観を押し付けないことが大事だと思う」と話した。

 加工・調理の質問では、「心臓がおいしいと聞いたが、どんな食べ方がおいしいか」と質問。「ゴマ油で食べたらおいしい。食感は筋肉質の感じ」と報告。「日本とは異なる各国の鯨肉の食べ方は」という質問には、「海外で主に焼く。干すという方法で、改めて日本のさまざまな食べ方に気が付いた。ノルウェーは、ソースも異なりおいしかった」と返答した。
 「おいしい鯨種は」という質問には、「ハクジラは臭いがきつく、イルカは臭いがある」「インドネシアではザトウクジラを食べたかったが、現地では貴重な鯨肉で食べる機会がなかった」と話した。
 「身近に鯨肉が販売されていればと思うが、鯨肉の流通は」という質問には、「オンラインで販売されている。私もコンビニエンスストアなどで手軽に買えたらと思う」と回答した。
 最後に松田氏は、「クジラに親しみをもってもらえたらと思う。生物としても、国際問題での攻防や流通問題なども面白い。皆さんにも知恵を出してもらえたらと思う」と話し、謝意を述べた。

 今回も鯨肉は共同船舶㈱(所英樹社長)と㈱g‐next(多田雅彦社長)が協力。赤肉はg-nextが色変わりなどを抑え、軟らかさも保つ独自の処理をした商品。味噌漬けも同社が試行錯誤を重ね商品開発して提供した。

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