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日頃の授業では深く扱われることが少ないクジラに関する国内外の動向・知見について、生徒らが熱心に耳を傾けた。
初めに松田氏は、高校生にクジラというと何を考えるかと質問。
生徒らは「大きい」「ザトウクジラ」「シロナガスクジラ」「竜田揚げ」「独特の鳴き声」などと答えた。生徒らとの簡単なやりとりのあと、自己紹介をした。
「海外に住んでいると、日本人はなぜクジラを食べるのかと聞かれることが多かった。私が生活をしてきた広島ではクジラを食べる文化はあまりなかったことから、鯨食文化に興味をもった」と述べた。
授業では、日本でクジラが捕獲されている場所について、基地式捕鯨では比較的小型の捕鯨船で沿岸でニタリクジラとミンククジラ、ツチクジラを捕獲し、基地まで運搬。陸上で解体して、主に生鮮で販売していくこと。母船式捕鯨では、排他的経済水域(EEZ)内でキャッチャーボートが大型のナガスクジラ、ニタリクジラ、イワシクジラを捕獲。母船の関鯨丸へ水揚げして解体。一部を除き冷凍販売すること。大きなナガスクジラも母船内で4〜5時間、ニタリクジラやイワシクジラでは1~2時間で解体していることを動画を使って示した。
続いて日本の捕鯨史を説明。浜に打ち揚がった「寄り鯨」を消費する受動的な捕鯨から、突き取り式捕鯨、さらに突き取り式捕鯨の非効率性を改善した、網を絡めて獲る網取り式捕鯨などを説明した。
世界で捕鯨している国として、ノルウェー、アイスランド、デンマーク自治領のグリーンランド・フェロー諸島、カリブ海のセントビンセント・グレナディーン、インドネシアで捕鯨が行われていることを各国の状況を実際に訪れた時の写真を交えて説明した。

松田氏は、「戦後の食糧難の時代に南氷洋の鯨肉が日本を救った。皆さんの祖父母の頃にはたくさん鯨肉を食べていたと思う。世界的には鯨肉を食べなくなってきている。日本は欧米に追随することなく商業捕鯨を行っている。技術継承をしなければ食文化は廃れてしまうので、そうしたことも考えてもらいたい」といった旨を話した。
生徒らからは、「米国が捕鯨をしなくなった理由は」「クジラのヒゲは使うと聞いたが、皮はどうするのか」「おいしいクジラの種類は」などの質問が出された。
松田氏は、「米国はペンシルベニアで石油が見つかったこと」「皮は食べているがおいしい」「かつてはシロナガスクジラがおいしいといわれたが、現在食べることができるクジラではナガスクジラがおいしいといわれている。部位としては尾の身がおいしい」などと答えた。

講義と並行して、生徒は北海道オホーツク産のナガスクジラの赤肉と皮の味噌漬を試食し、その味を確かめた。
鯨肉を試食した生徒は、「もっと身近に鯨肉が販売されていればと思う」「赤肉は刺身もいいが、焼いたらもっとおいしかった」「あまり臭みを感じることはなかった」「初めて食べたがまずかった」「ほかの鯨肉も食べてみたい」「インドネシアでの銛(もり)での捕鯨が印象に残った」「別の食べ方もしてみたい」「皮の脂が甘くておいしかった」「血が苦手だった」「非常においしかった」「馬肉のような味わい」などといった感想が聞かれた。
短い時間ではあったが、生徒は捕鯨および鯨食文化について改めて理解を深めた。
最後に松田氏は、「私自身も皆さんがいろいろ考えてくれて、意見が聞けて勉強になった」と謝意を述べた。
鯨肉は共同船舶(株)(所英樹社長)と(株)g―next(多田雅彦社長)が協力。赤肉はg―nextが色変わりなどを抑え、軟らかさも保つ独自の処理をした商品。味噌漬も同社が試行錯誤を重ね、商品開発して提供した。
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